「夜市」
恒川光太郎/著
角川書店 2005年10月
何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した裕司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた——。
第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
日本に古くから伝わる怪談に、単なる恐ろしさだけではない幻想的な美しさや
人間の深い業や哀しみがあることを教えてくれたのは小泉八雲の「怪談」だった。
この作品にもそれと同じ匂いがする。
どこか懐かしくて情緒があり、哀しいけれど美しい・・・ホラーより「怪談」と呼ぶに相応しい。