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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

『 わたしに会うまでの1600キロ 』

『 わたしに会うまでの1600キロ 』_d0098286_23191232.jpg
公式サイト
2014年 アメリカ
上映時間 116分
監督 ジャン=マルク・ヴァレ

何度もやめようと思った、

でも歩き続けた。

人生とおんなじだ。




"自分探し"って言葉がどうにも胡散臭く感じて嫌いです
だからこの自己啓発本の様な邦題と日本版の予告には何ら惹かれるものはないものの
『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督に釣られての鑑賞

そしたら、これがまあ邦題詐欺と言うべきか(笑)
"自分探し"なんて甘っちょろいものではなく
ジャンキーでセックス依存症、夫にも愛想をつかされ
何もかも失ったどん底女の物語で
私にとっては良い方向へ予想を大きく裏切る作品だった

『 わたしに会うまでの1600キロ 』_d0098286_23204478.jpg

決してきれいごとではなく、無様で生々しい再生物語
『ダラス・バイヤーズクラブ』にも共通する
ジャン=マルク・ヴァレ監督の作風、好きだわ


音楽も印象的

冒頭から繰り返し流れる 
「コンドルは飛んでいく」 のイントロ部分の哀調を帯びた音色と
パシフィック・クレスト・トレイルの過酷で美しい自然との調和

対して

サイモン&ガーファンクルの澄んだハーモニーと
わざと自分を傷つけるかの様に
ドラッグとセックスに溺れる主人公の痛々しい姿との対比

『 わたしに会うまでの1600キロ 』_d0098286_23212155.jpg

そして旅の途中で出会った少年が歌う 「Red River Valley」
思わず "谷間に咲くひな菊 風にそよぐ朝は" の歌詞が浮かんだが
原曲の歌詞はまさしくシェリルの心そのもので
鋭く胸を刺すと同時にその無垢な歌声に癒されもした
おそらくシェリルも同じだったのではないだろうか

★★★★

by hasikkoami | 2015-10-03 23:33 | 映画館