「最終目的地」
ピーター・キャメロン【著】 岩本 正恵【訳】
新潮社 (2009/04/30 出版)
南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自殺した作家の縁者たち。
作家の伝記を執筆するためにやってきた大学院生が、
その眠るような暮らしに波紋を投げかける−。
440ページとそこそこの長編だが、滑らかで優雅な文章に誘われるようにあっという間に読み終えた。
自殺した作家の、妻、愛人とその娘、兄とその恋人
静かな湖の様に凪いだ彼らの生活に投げ込まれた小石のような大学院生
彼が起こしたさざ波はやがて湖全体に広がって行く
上質な舞台劇のように軽やかな登場人物たちの会話
細やかな心理描写と美しい情景描写
溜息が漏れるほど鮮やかなラスト
何もかもがうっとりとするほど素敵だった。
by hasikkoami
| 2012-01-07 11:26
| 図書館