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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

カテゴリ:図書館( 497 )

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呉 明益∥著
天野 健太郎∥訳
白水社 2015.5

1980年代初頭、台北。物売りが立つ歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた-。今はなき「中華商場」とそこに生きた人々のささやかなエピソードを紡ぐ、ノスタルジックな連作短篇集。


ノスタルジックだけど変にベタベタしてなくて
流れて行く時間を淡々と見つめている感じがいい。

80年代初頭の台北の街と人々の姿は
ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンの映画を観ているようで、
特に「ギター弾きの恋」なんて、まんま『恋恋風塵』みたいだわぁと思っていたら
作中にも『恋恋風塵』の話が出てきて、やっぱり意識してたのね~と納得。
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by hasikkoami | 2016-08-14 16:16 | 図書館 | Comments(0)
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堀江 敏幸∥著 
角田 光代∥著
プレジデント社 2015.10

『dancyu』の好評連載「私的読食録」を書籍化。
2007年4月号~2015年7月号に掲載された100本の書評エッセイを収録する。
堀江敏幸×角田光代100回記念対談も掲載。


角田さんと堀江さんが見開き2ページづつ交代で、
一冊の本と、その本に出てくる「食」について綴る
食べ物エッセイであり、読書案内でもある一冊。

グルメには程遠く、自分一人なら三食シリアルでOKなほど、食に関心のない私にも
「本を読むことでしか食べられない」大好物は幾つかあって、
角田さんの「ぐりとぐらのカステラ」「ちびくろサンボのバター」「ハイジの白パン」などはまさしくビンゴ!
対して堀江さんパートは、へ~ほ~なるほど~とお勉強感覚で。

ちなみに私が大人になってからの「本を読むことでしか食べられない」大好物は
鬼平犯科帳の"浅利と大根の小鍋立て"
何度読んでも涎が出るほど美味しそうで、実際作っても美味しいに違いないのだが、
きっとそれがどんなに美味しくできたとしても
本を読んでいる時の味には絶対に敵わないと分かっているのであえて作らないでいる。
(本当は単に浅利をむき身にするのが面倒なだけ)
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by hasikkoami | 2016-08-10 08:16 | 図書館 | Comments(0)
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吉田 修一∥著
文藝春秋 2016.3


大切な人の不倫、不正、裏切り。
正義によって裁くか、見ないふりをするか。
やさしさに流されてきた3人の男女が立ち止まるとき-。新次元の群像ドラマ


「わたしを離さないで」を思わせる台詞が出てきてまさかと思ったけれど、
本当にそのまさかだったとは...
吉田さんの新境地とも言える作品ではあるけれど
個人的にはあのラストにどうにも違和感があって
普通の連作短編集として読みたかったかなぁ...とも思う。
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by hasikkoami | 2016-08-09 07:56 | 図書館 | Comments(0)
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角田 光代∥著
朝日新聞出版 2016.1

刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、
子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、
彼女の境遇にみずからを重ねていく。
虐待死事件と<家族>であることの光と闇に迫る心理サスペンス。


児童虐待のニュースを耳にする時、大半は怒りの感情しか沸いてこないが、
時には、そこへ追い詰められた母親の辛さを思い、胸が締め付けられることもある。
子育てを経験した者なら誰しも、多かれ少なかれ里沙子と同じ様な経験があるはずで、
読みながら自分と里沙子、ひいては子供を殺した母親との境が分からなくなる。
既に子育てを終えた私ですら、これほど現実味を持って読んだということは、
リアルタイムで子育てしている人が読んだら、どうなってしまうのかと空恐ろしくなる。
私だけではないのだ...と多少なりとも心が軽くなるのか、それとも・・・
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by hasikkoami | 2016-08-08 07:59 | 図書館 | Comments(0)
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エマ・ドナヒュー∥著
土屋 京子∥訳
講談社 2011.10

ぼくはママと住んでいる。知っているのはこの部屋とテレビの世界だけ。なぜならぼくはこの部屋で生まれて一度も外に出たことがないから…。
極限状況を生きる人間の勇気と気高さを描いた小説。

映画『 ルーム ROOM 』の原作。

映画とは違い、こちらはジャックの完全な一人称。
文字は全てひらがなで、文章もたどたどしいものの、
だからこそ尚更、思うまま、感じたままに描かれる"母と子"2人だけの世界。
曇りのない5歳児の目を通して描かれるのは
閉ざされていたからこそ無限であり、境界がないからこそ息苦しい世界の残酷さと複雑さ。
大きさは違えど、我々は皆何かしらの「部屋」に閉じ込められているのかもしれない。
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by hasikkoami | 2016-08-07 16:56 | 図書館 | Comments(0)
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ジュリー・オオツカ∥著
岩本 正恵/小竹 由美子 ∥訳
新潮社 2016.3
「写真花嫁」としてアメリカに渡った日本の娘たち。子を産み育て、働き、
ようやく築いた平穏な暮らしも、日米開戦とともにすべてが潰え…。
「わたしたち」を主語に、一人ひとりのエピソードを綴る、
痛ましくも美しい中篇小説。


20世紀初頭、写真だけを頼りにアメリカに嫁いだ「写真花嫁」の存在は
以前ドキュメンタリー番組で見たことがあり、知ってはいた。
しかしその時は、これほどまでに心を揺さ振られはしなかった。

そっけないほど淡々とした文体で綴られる、一人称複数形の「わたしたち」の無数のエピソード。
その小さな点の一つ一つが、さながら点描画の様に彼女らの人生をくっきりと浮かび上がらせ、
ひっそりとした囁きの様な声の一つ一つが、静かに心に突き刺さる。
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by hasikkoami | 2016-08-07 13:48 | 図書館 | Comments(0)
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角田 光代∥著
文藝春秋 2016.3

文芸編集者の那波田空也は、ボクシング選手・タイガー立花の日々を見つめ続けるうち、不吉な予感を覚える。才能とは。逃げるとは。リングという圧倒的空間に熱狂と感動を描ききる長編小説


ボクシングに興味がない所為もあり、
いじめられっ子のノンちゃんパートばかりが気になって
肝心のボクシングパートにいまひとつ入り込むことが出来ず...^^;
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by hasikkoami | 2016-05-19 08:07 | 図書館 | Comments(0)
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又吉 直樹∥著
文芸春秋 2015.3

奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。
芸人の2人が運命のように出会ってから劇は始まった-。
笑いとは何か、人間が生きるとは何なのか。


単純に面白かった。
エンターテインメント性もたっぷりで
芥川賞よりむしろ直木賞向けなんじゃない?と思っていたら
最後の最後で、これはやっぱ芥川賞だわ~と思ったww
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by hasikkoami | 2016-05-19 08:06 | 図書館 | Comments(2)
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岸本 佐知子∥編訳
講談社 2016.2

美しい話も、ヒリヒリ苦い話もあります-。
名アンソロジスト・岸本佐知子の「網」にかかった
愛すべき海外小説の短編アンソロジー。


岸本さん編訳のアンソロジーにハズレなし!

本当に小説とは奇妙なものだと思う。
紙に書かれたただの言葉に過ぎないし、読む側は物理的には1ミリも動かないのに、
どうしてこんなに心をかき乱されたり、遠いところまで連れていかれたり、
五感を刺激されたり、眩暈や動悸を感じたりするのだろう。

あとがきの岸本さんのこの言葉がぴったりの11の物語。

どの話もそれぞれよかったけれど
一番好きなのは、体内にアリの巣を持つ女の話「アリの巣」と
遺体の髪を煙草の様に吸う男の話「亡骸スモーカー」。
そしてミランダ・ジュライもやっぱりいいなぁ。
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by hasikkoami | 2016-05-18 21:27 | 図書館 | Comments(2)
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青山 文平∥著
文芸春秋 2015.7

去った女、逝った妻…。瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影は、いまなお男を惑わせる。江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業-。全6篇を収めた武家小説集


154回直木賞受賞作。
1話目の「ひともうらやむ」でたちまち心を掴まれた。
何とも痛ましい話から、終盤あたたかい展開になったなぁ...と思ったら、
最後でまたまたぞくりとさせられて・・・
ああ、女ってホント得体の知れない生き物だよなぁ..と思わせられる。
他の話も皆それぞれに味わい深く、青山文平氏のインタビューにあった
「男は"点"で女は"線"」に思わずなるほどな~とうなる話ばかり。
何より端正で美しい文章が読んでいて何とも心地よい。
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by hasikkoami | 2016-05-11 19:56 | 図書館 | Comments(0)