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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

「春にして君を離れ」

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アガサ・クリスティー/著 中村妙子/訳
早川書房 2004年04月

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…

アガサ・クリスティーを読むのは中学生の時以来。
「そして誰もいなくなった」やポワロやマープルものを幾つか読んではいたが
当時バリバリのエラリー・クイーン派だった私は
生意気にもクリスティーはイマイチなんて思っていた。
それが何故今頃クリスティーなのか?と言うと・・・
以前見たNHKの「偉大なるミステリー作家たち」と言う番組で取り上げられていた
クリスティーがメアリ・ウェストマコットと言う別名義で1945年に発表した
”ミステリーではない”お話ってことで興味を持ったからなんだけど・・・
これがもの凄~く面白かった!
旅の途中、天候不順の為に数日間砂漠に足止めされることになり暇を持て余した主婦が
自らと家族のことを思い返す・・・ただそれだけの話しなのに単調どころか
薄皮を剥ぐように少しずつ真実が明らかになっていく過程はハラハラドキドキ。
そしてラストの恐ろしさと言ったらもうお見事!の一言。
しかしもしも私がこの作品を中学生の時に読んでいたとしたら
やっぱりクリスティーってイマイチ、と思ったに違いない。
妻になり母になり、主人公ジェーンの年齢に近くなった今だからこそ解る面白さと恐ろしさ。
クリスティーの凄さは事件やトリックではなく人物描写の面白さだということにようやく気が付いた。
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by hasikkoami | 2009-06-09 10:20 | 図書館 | Comments(0)
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