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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

「贖罪」

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イアン・マキューアン/著 小山太一/訳
新潮社 2003年4月
1935年夏、13歳の少女ブライオニー・タリスは休暇で帰省してくる兄とその友人を自作の劇で迎えるべく、奮闘努力を続けていた。娘の姿を微笑ましく見守る母、一定の距離を取ろうとする姉セシーリア、使用人の息子で姉の幼なじみのロビー・ターナー、そして両親の破局が原因でタリス家にやってきた従姉弟―15歳のローラ、9歳の双子ジャクスンとピエロ―らを巻き込みながら、準備は着々と進んでいるかに見えた。だが練習のさなか、窓辺からふと外を見やったブライオニーの目に飛び込んできたのは、白い裸身を晒す姉と、傍らに立つひとりの男の姿だった…。いくつかの誤解、取り返しのつかぬ事件、戦争と欺瞞。無垢な少女が狂わせてしまった生が、現代に至る無情な時間の流れの果てに、切なくももどかしい結末を呼ぶ。

先頃公開された映画『つぐない』の原作。
映画を観た時、ブライオニーの言うところの「贖罪」の形にどこか自己満足的な傲慢さも感じて、いまひとつ納得が行かなかった。しかし今回原作を読んでそのラストには全く違う感想を持った。あれはけっして自己満足でも傲慢さでもなく、小説家としてのブライオニーが出来る唯一の「贖罪」に他ならなかったのだ、と。映画は原作にとても忠実に作られていたし、ラストのブライオニーの告白も原作とそれほど違っていたとは思えない(台詞の一つ一つを覚えているわけではないのであまり自信はないが)のになぜこんなにも違うのか?
もう一度映画を見直して確認してみたくなった。
by hasikkoami | 2008-06-13 13:08 | 図書館