「 回転する世界の静止点 初期短篇集1938―1949 」
パトリシア・ハイスミス∥著
宮脇 孝雄∥訳
河出書房新社 2005.1
女流ミステリ作家、パトリシア・ハイスミスによる単行本未収録の初期作品を集めた短篇集。人間心理の危うさを鋭く描く個性は、この時点ですでに確立されていた! ファン垂涎の一冊!
『太陽がいっぱい』のイメージから日本ではミステリ作家のイメージが強い
パトリシア・ハイスミスだけれど、ご本人はそう言われるのが不本意だったらしい。
そしてこの短編集に収められている作品たちも決してミステリではない。
しかしどの作品にも、どこか不穏な空気が立ち込め、ヒリヒリする様な、ゾクゾクするような、
妙に落ち着かない気分にさせられるのは、ある意味サスペンス小説と言えるかも。
後味の悪い作品がほとんどの中、最後の「ルイーザを呼ぶベル」の優しさが嬉しい。