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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

「 犯罪 」

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フェルディナント・フォン・シーラッハ【著】酒寄 進一【訳】
東京創元社(2011/06発売)


高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。


エンターテインメント性は皆無。
ぶっきら棒とも言える箇条書きに近い文体。
心理描写はほとんどなく、事実のみが淡々と語られる。
それなのに、どうしてこんなに面白いのか!?
乾いた文体の裏に、人間の哀しみ、滑稽さ、業の深さが垣間見え
わずか20ページほどの短さの中に
これほど深く濃密な物語を描けるなんて本当に凄い。
中でも最後の1篇「エチオピアの男」の余韻の素晴らしさは
長編を読み終えた時の満足感以上のものがある。
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by hasikkoami | 2015-05-06 13:10 | 図書館 | Comments(4)
Commented by ぺろんぱ at 2015-05-13 21:31 x
この本、一昨日購入してきました。
「序」から既に、その文体に惹かれるものを感じました。
巧く言えないですが、❝信頼❞できる何かを感じています。

>最後の1篇「エチオピアの男」の余韻

まだ3篇目ですが、最終章のそれを楽しみにしています。
ご紹介、ありがとうございました。

Commented by hasikkoami at 2015-05-14 19:28
★ ぺろんぱさん ★

おお~!ご購入ありがとうございます~!
(私は図書館で、すみませんm(__)m)

>❝信頼❞できる何かを感じています。
さすがはぺろんぱさん!
私もこの作品の素晴らしさをどう表現すればいのか悩むのですが、
なるほど「信頼」・・・まさにその通り!
数ページ読んだだけでも、
この作品には裏切られることはない、と確信しましたもの。

もしよろしければ、読後の感想などもお聞き出来れば嬉しいです^^
Commented by ぺろんぱ at 2015-05-18 19:22 x
読了しました。

感情の一切を交えない簡潔な文章が続くのに、深いところで
真実を見極めようとする冷静さと同時に被疑者への寄り添いが
感じられるのが不思議でした。
そんな中で「サマータイム」の一篇には、弁護士としての
プロ意識とその裏にある苦悩が現われていて興味深かったです。

「フェーナー氏」「棘」「エチオピアの男」が印象に深く、
特に「エチオピアの男」では最後の一行に落涙でした。

繰り返し、ご紹介ありがとうございました。

Commented by hasikkoami at 2015-05-19 20:53
★ ぺろんぱさん ★

まるで調書のように、起こったことだけを
淡々と綴っているだけなのに、
事件の被害者や被疑者はもちろん、
僅かに関わっただけの関係者に至るまで、
その人間性を感じさせるって凄いですよね。

「サマータイム」のグレーな感じは
実際に刑事事件を扱った弁護士だからこそ
書ける物語かもしれませんね。

>「エチオピアの男」では最後の一行
私ももちろん泣きました(笑)
この作品だけでなくシーラッハは
ラストの一行が印象的な作品が多いのですよ。

こちらこそ、読んでくださってありがとうございます。
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