ブログトップ

図書館の隣の映画館

hasikko.exblog.jp

本と映画と時々音楽

『 僕が星になるまえに 』

d0098286_2254377.jpg
公式サイト
2010年 イギリス
上映時間 93分 
監督 ハッティー・ダルトン


僕たちは辿り着けるだろうか

運命のその先に――。





2010年のインディーズ映画が今になって日本公開されるとは!カンバーバッチ人気恐るべし!
と思っていたのだが、日曜の午後だと言うのにお客は私を含めたったの二人。
さすがにこんな田舎まではカンバーバッチ人気も浸透していなかった模様。

末期ガンで余命わずかの青年ジェームズ(ベネディクト・カンバーバッチ)が三人の親友と共に
“世界で一番好きな場所”であるウェールズ地方のバラファンドル湾を目指すロードムービーは
少女マンガ風の甘い邦題とは裏腹に、苦くて重い作品だった。

以下結末に触れています。



d0098286_2255837.jpg


旅の始まりは少年の様にはしゃぐ4人に微笑ましい気分になるが
やがてそれぞれが抱えている問題や旅の本当の目的が明らかになってくる。

ジェームズのこの旅の目的が、この地で自らの命を絶つことだと知った時は
なんて身勝手で残酷な決断なのだろうと思った。
残された3人は自分の無力さを嘆きながらその後の人生を生きることになる。
最後まで自分に寄り添ってくれた親友たちにするにはあまりにも酷い仕打ちではないか、と。

しかし原題の『 THIRD STAR 』の意味を考えた時
必ずしもそればかりではないのかもしれない、と思った。

THIRD STAR(三番目の星)とは劇中でジェームズが
ピーターパンのお話の中に出てくるネバーランドへの道しるべである二番目の星を勘違いして言った言葉。

星空の下で仲間たちに人間の存在意義を問いかけ
それぞれが抱える問題から目を逸らし無為に生きている彼らをなじりながら
「ならばお前は一体何を成し遂げた?病気になるまで何もしなかっただろ?」
と問われるジェームズもまた、無為に生きてきた、大人になりきれない大人の一人。

末期ガンの苦しみから逃れる為だけならば、一思いに薬を飲めば済む。
しかしジェームズはそれではダメなのだと言った。
自ら海に入り、泳ぎ、力尽きてもがき苦しみながら息絶える・・・そうでなければダメなのだ、と。
彼は親友たちに生きることの意味と人生について考えて欲しかったのかもしれない。
何一つ成し遂げることの出来なかった人生で
それが自分に出来る最後のことだと思ったのかもしれない
・・・なんて思うのはちょっとジェームズのこと買い被り過ぎかしら?笑

d0098286_2261215.jpg

二番目の星を曲がった先にあるのは、大人にならない子供たちの国、ネバーランド

そしてジェームズは大人への道しるべとなるべき三番目の星になった。

この旅は大人になりきれない男たち4人が大人になる為の旅だったのかもしれない。

<満足度> ★★★

[PR]
by hasikkoami | 2013-11-14 22:17 | 映画館 | Comments(4)
Commented by ぺろんぱ at 2013-11-17 18:58 x
ロードムービー好きに加えて今をときめくカンバーバッチさんの主演作!・・・と期待しつつ劇場鑑賞は(諸般の事情で)見送りかと思いきや、貴ブログにお伺いして数行を拝読した途端に俄然「やっぱり観たいなぁ!」という思いが。「苦くて重い作品だった」という貴レヴューにぐぐっときた感じです。
なので、「以下結末に触れています。」以降はお預けにさせて頂きました(*^_^*)。
鑑賞が叶っても、もしもやっぱり叶わなかったとしても、必ずや再訪させて頂きますね。ヨロシクです。

Commented by hasikkoami at 2013-11-17 23:07
★ぺろんぱさん、
おお~ぺろんぱさんもロードムービーお好きですか!私もです^^
今作はインディーズ作品ということもあり、映像的にも脚本的にも粗い部分もありますが、
色々考えさせられる作品でした。
しかしいかにもイギリスらしいユーモアも随所に見られ、
苦くて重いけれど決して暗い作品ではないと思います。

もしご覧なったら(たとえならなくても)またお話させていただければ嬉しいです。
その時をお待ちしています^^
Commented by ぺろんぱ at 2013-11-26 21:16 x
こんばんは。
先の日曜に観てきまして、やっとレヴューをアップしました。

仲間たちの個性がきっちり描かれていて、演じる役者さんも魅力的でした。

私も、結果的には仲間3人はあの旅を通して確実に人生の足取りを強くしたと思います。ジェームズは死に向かう旅であったとしても。

劇場で観ることができて本当によかったと思いました。(*^_^*)
ありがとうございました。

それにしても、「邦題」は残念ですね~。 


Commented by hasikkoami at 2013-11-27 21:53
★ぺろんぱさん、
日本ではどうしても今をときめくをカンバーバッチ氏に注目が行ってしまいますが
他の3人もとても良かったですよね。
特にマイルズ役のJJ・フィールドは以前から気になっていた俳優さんなので嬉しいです。

>結果的には仲間3人はあの旅を通して確実に人生の足取りを強くした
あまりにも重い荷物を背負わされてしまった彼らの今後が気になるところですが
彼らなら乗り越えて行ってくれると信じたいですね。

こうしてまたお話することが出来て嬉しいです。
こちらこそありがとうございます^^
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。