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図書館の隣の映画館

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本と映画と時々音楽

『少年と自転車』

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公式サイト
2011年 ベルギー/フランス/イタリア
上映時間 87分
監督 ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ


ただ、一緒にいてくれたら、

それだけでいい。




以前、里親についての日本のドキュメンタリー番組を見たことがある。
その中で10人以上の里子を育ててきた夫婦がこんなことを言っていた。

里子として彼らのもとに来る子供たちは皆初めは明るく聞き分けもいいのだが
暫くすると問題行動を起こすようになり、それが段々とエスカレートしていく。
大人を信用することが出来ない子供たちは、そうして里親がどこまで自分を受け入れてくれるかを試す。
そしてそれを乗り越えた時、初めて絆が生まれるのだ、と。

シリルのサマンサに対する態度はまさしくそれだ。
ただ一度偶然居合わせただけの彼の為に、何故サマンサがあそこまで出来るのか、
正直私には理解出来ないが、彼に強くしがみ付かれた時、彼女の中に何かが生まれたのだろうか?

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ジェレミー・レニエ演じるシリルの父はまるで『ある子供』のブリュノのその後の様。
二人の関係は『イゴールの約束』の親子関係ともダブり、
これまでの作品と少しずつ繋がっているようにも感じた。


音楽を使わないことで有名なダルデンヌ兄弟。
前作『ロルナの祈り』のラストで、初めてベートーベンのピアノソナタが使われとても印象的だった。
今回はシリルが自転車に乗るシーンで、ベートーベンのピアノ協奏曲のあるモチーフが繰り返し使われる。
その流れ方は唐突で違和感すら感じ、それはまるでシリルの不安定な心の内を表しているかの様。
しかしエンドロールで初めて流れる、そのモチーフの後の柔らかなピアノの音色に
ようやくシリルが幸せを見つけたように感じ、私も安堵することが出来た。

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<満足度> ★★★★
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by hasikkoami | 2012-07-21 09:05 | 映画館 | Comments(0)
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